華の立て髪
soft_machine

 華のかたちをしている石だ
 強く 耳を押しあて
 囁きが澄む

 落ちる礫が
 空を また坂のぼる
 長い物語だもの、幼魚だと
 思っていたこの身体も
 つかの間 魚に成って

 「失われても 咲くよう」

 今朝、わらったんだ
 予感どおりに、ひらいて香った
  それだけの奇跡
  風に吹かれて 立て髪

  外に さしこむもの
  内に あふれるもの
 まだ、今日を好きでいられる
 ならば、生きていてよかった





自由詩 華の立て髪 Copyright soft_machine 2023-06-01 16:53:53
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