温室
リリー
熱帯植物のあでやかな緑生い茂る中に
消えていった友人の後ろ姿
呼吸の度 緑の香が私の心染めてゆく
樹々の名前など知らない
私の身体中が
心中が
熱帯樹のしめりに酔い
私の声が 呼吸が
熱帯樹の息吹の中にすいこまれる
一足 歩いて 又立ち止まる
一つ ふり仰いでは深呼吸する
ああ、この中で一晩を恋人と
すごせたら良いのに と
かすかな未練
捨て切れない女のねがい
顔の前で 姿見えなくなっていた友人の右手が
「あかん。かぶれてるわぁ。」
左右に振られた
自由詩
温室
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リリー
2023-06-01 11:39:31
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