閃光
たもつ


雨の形のまま
わたしたち、地下鉄で
産道を進む
透明に敷き詰められた窓
向こう側に続く暗くて
滑らかな景色
輪郭は線となり
わたしは葉っぱを並べる
あなたは選挙の人にもらった紙が
綺麗だったと言って
手のような所を動かしている
多分、もう見わけもつかない
良い香りの白いご飯と
シンプルでも姿形の良い傘と
欲しいね
そうわたしは言って
暫くして、あなたも言った
距離の先にある解れた改札
閃光
一分と一秒が同じになっていく
人々が口にしている
良くないことが起こっている



自由詩 閃光 Copyright たもつ 2023-05-31 17:41:19
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