アースランテとの駆け引き(六)
朧月夜

ハッジズのこの提案は、ラゴスと争うにあたっては願ってもないものだった。
しかし、ハッジズの野望はそこにはない。いずれは、
ライランテ大陸のすべてをアースランテの手中に治めるつもりだった。
だから、彼はこう答えた。

「イリアスの身柄、どうとでもするが良い。汝らに、
 我が行く道は防ぐことはできぬ。他国の援助など願ってはおらぬ」
「では、ヤーコンの動向はどうなのですか? ヤーコンでは今、
 アースランテと協力しようと軍団を募っているところです」

「そうだな。いずれ、漁夫の利を得たいと思っている輩ばかりであろう。
 アースランテは、このライランテ大陸を統べる。そこに、平和が訪れるのだ。
 争いのない世界。この世の楽園だ」

「楽園ですって? 気でも狂ったのですか? この世に楽園などない……」
「果たしてそうかな。アースランテは、ライランテを平定した後、
 すべての魔法を封印する。魔導士ウィザムのいない世界を作り出すのだ」


自由詩 アースランテとの駆け引き(六) Copyright 朧月夜 2023-05-31 03:02:35
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩