撚糸
あらい

凪いだ砂塵の内側から煽アオれた明り
外は煤けている
誕生/流星
足早に翔ける影 追い風が地に及ばない架け橋
碑にもなれないシャッター街 今が
移っていった赤提灯ほどよく詰まりきっていて
噛み点いたり沁みっ足タれたり 為去タメサりながら
いる部屋より低いところを、反射している

細波だから仕方ないかと流浪のものは
あてもなく招待状のない小さな鳴き瓶に
小骨がひとかけら、詰まっているとみたのだが
穏やかな空であろう そうであろうと首肯き
そう、風もなく穏やかで濡れる薄墨のたぎりを聞く

くろくうるさいアスファルトも点々と埋める
過誤より塔、摩天楼もまっすぐに落ちてしまって
ゆく人々もそう足早でも。うんともすんともいわず、
愛された景色ばかりが散漫としたもので
また、振り返っても 同じ顔が割り当てられ
すこしだけ 過去を背負い込むように歩いています

足が速いだけのネオン管の陽、その代用品
手鳩信号。跨線橋から摩該マガイが逃げ出した

この旅館の入り口はあたたかい色をおいて
ぼそぼそといった、コートを脱いで 肘をついて
窓辺から 世界より 壊れたところで 露光が游いでいる


自由詩 撚糸 Copyright あらい 2023-05-29 23:15:40
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