マボロシ(改訂)
ひだかたけし
灯り消え
夜闇に
鎮まる
街、家々
わたしは
独り寝の床、
整え
眠薬服し
蒲団被る
人は毎夜、
深い眠りに
恒星たちの
うた、聴く
という
やがて
光のうた、
忘却して
朝に目覚める
死に、至るまで
この世の生、
終えるまで
この意識を、
眠りの最中覚醒させ
聖なる宇宙を刻み込む
それは
ただのファンタジー
か
この人生という現実
この人生が孕む可能性
*
家々、今夜も灯り消し
人々、自然に眠り入る
わたしは独り寝の床に
ふと浮かぶマボロシ、みる
恒星の光のうた響く
マボロシは生々しく
やがて
降り頻る雨音に
現へと移り滑り
白い小部屋に病の重み、
疼く肉体に灯り消し
今夜も切迫する悪夢に入る