夕暮れ(改訂)
荒井 修一郎
池の湖水は、幽かの光を震えてまた映え、夕暮れは嘆息しようとしながら地に埋没しようとしていた。五月の薄いどんよりとした雲が雨を地に落とすこともなく、札幌はまだ初夏の静けさを横たえている。藤の花に熊蜂が吸って永劫の世界に統一させようという感触を与えよとうとしていたが、私の人生の一抹の秒針の進捗に過ぎぬ刹那にしかならないのが、この公園の不思議な印象だった。
池を巡って、人生の儚さと来世の救済という題材を考えている。
許しもあれば、人は堪えられない罪の重荷を日々重ねて生きることについて、責を負わなくてはならない。自分の航路の無い人生になにが羅針盤を定めていくのであろう。
池の湖水に陽が反射している。
まだ何をすべきか。釈然としない。
それが、きっと絵であり、詩なのかもしれないと思った。
池の湖水に太陽未だ没さず、私の前を照らしている。目的も定まらぬ行脚を見透かして、きっと明日も彼は優しく、親切で、従容として、私が来るのを待っているのであろう。