動けずにいる
山人

夜の雨は何かを伝えようというのだろうか
泡立つように一つの感覚が芽生えてはうなだれ
いつもように日々が過ぎていくのを
僕は目を少し開けては眺めている
昨日少し生まれ変わり、風の子供の歌を聴いた気がした
でも、朝、ひどく疲れていて、重積した腐葉土がうめいている

街のバイパスを、終末に向かう人のように僕は
ただ、言葉も発することもなく、車を走らせていた
間欠ワイパーは、強くなったり弱くなったりする雨粒を
ただ単に浚っていく
聞き飽きたBGMは、僕の生きざまのようで
まるで生きることに疲れている音源で
ふて腐れて鳴り続けている

量販店の硝子に映る僕は僕ですか?
何者ですか、君は
終わりの見えない終わりに向かうのはどうですか?
歩くことも走ることも出来ずに
こうして僕は
僕をながめ
動けずにいる






自由詩 動けずにいる Copyright 山人 2023-05-29 20:45:54
notebook Home 戻る