沈黙の流星雨
岡部淳太郎

降って来る
ただ黙って
いくつもの小さな星が
その欠片たちが 降って来る

そうして星が降ると
僕等の心に穴が穿たれる
僕等は飛び立てない剥製の鳥
翼のかたちをしただけの ただの観念
その観念に穴が開き
僕等はますます空を憧れるだけのものとなる

そうして僕等が沈黙のなかにある時も
空の向こうのどこか別の闇には
いくつもの星が降り注ぎ
そこの人たちの魂に その痕を残している

今夜の宇宙は雨模様
むすうの流星が
その記憶とともに降り注ぎ
僕等はそれぞれに
顕在意識の傘でそれらの雨を防ぐ

流星雨の記憶と観念に濡れる時
僕等の夢のなかに来るものは
僕等の眠りを脅かして
結果として僕等の
昼を縛りつけるものは何か

ただ宇宙から降り注ぐいくつもの小さな星の
その絵だけが美しく
ただの抒情として
僕等のそれぞれの夜を彩ってゆく



(二〇二二年十二月)


自由詩 沈黙の流星雨 Copyright 岡部淳太郎 2023-05-28 20:27:53
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