宮之浦岳縦走
zenyama太郎
この時期三日間晴れるとは奇跡です
と帰りタクシー運転手がいった
鹿児島港からのんびりフェリー4時間の船旅
油のような海をフェリーはゆっくり進む
五月の風が気持ちいい
宮之浦港からバスでいつものように紀元杉へ
降りて淀川登山口までの坂道のザックが
重たくて肩に食い込む
登山口から小一時間で淀川小屋
5年ぶりの小屋が変わらずあった
川の水はきれいでトイレは臭い
翌日朝6時に出発して
11時前に頂上に着く
思っていたよりスムーズであった
縄文杉のパワーをもらって登れた気がする
おめあてのシャクナゲは一部咲きだったが
とてもきれいだった!
花は咲き始め女は○○○なんて卑猥なことが
思わず浮かぶ
頂上は360度の眺め
世界遺産だけあって外人も多い
山中で唯一電波の入るところ
ここで95歳の伯母さんの訃報を知る
花山歩道コースをいつもの縄文コースに
変更する
永田岳に登り
新高塚小屋に5時過ぎに着く
久しぶりの縦走自分をほめてやる
小屋にはすでに20人以上が寝ていた
疲れていたが大イビキと大咳で熟睡できなかった
朝6時過ぎに出発
誰もいない山小屋は嘘のように静かで
今からなら熟睡できそうだった
途中から神奈川から来たという若い山ガールに会った
初めて来たという彼女は
縄文杉で祈りのような歌を高らかに独唱した
山の女神のような美しく清らかな歌声だった
山に来ると平地の数倍も女性が
きれいに見えてしまうのは不思議なことだ
急な階段を慎重に降りてトロッコ道へ
それから楠川古道を白谷雲水峡へ向かう
峠でゆっくり昼食をとる
彼女は太鼓岩に登る
ここで油断してのんびりしたのが
まちがいだった
3時5分から白谷へ降りていたら
太鼓岩から降りてきた彼女が
4時10分のバスに間に合わないといって
急ぎ足で追い越した
それから三人で大石のごろごろした山道を
重いザックを背負って急いで下った
気配を感じて途中歩いている人たちが
道を譲ってくれた
途中転びそうになったがなんとか踏ん張った
重い荷を背負っているので転ぶと大怪我をする
彼女は登山靴の底が両方ともとれていた
粘着テープで縛っての山下りだった
ダッシュしたにもかかわらず一分前に
バスは出ていた
しかし思い出に残る早下りになることだろう
タクシー代の3千円は
彼女の提案で割り勘にした
日本百名山
いたるところ
山あり 登山者あり 暮らしあり