ファシの戦い(十七)
朧月夜

今、ラゴスの首都ラディアに向かって、
ファシブルの早馬が駆け付けようとしていた。
アースランテの軍勢がファシの城壁内に侵入してから、
ちょうど二日目のことである。

しかし、ラゴスは未だに静観の構えを取っていた。
海外領土から兵士たちを呼び戻したとは言え、
アースランテとの正面対決は避けたい。いや、遅らせたい。
このままではファシブルが落ちる、ということも分かっていた。

アウゼル・ローガンテは、ファシブルから援軍の要請が来ても、
それには応じないつもりでいた。今はクールラントとの同盟を重視すべきである。
クールラントがこの戦いに参戦しない以上、我が国は慎重に行動する必要がある。

ライランテ大陸は、今混乱のさなかにある。もちろんそれには、
降臨したドラゴンたちとの戦いも含まれていたからである。
「ラーディガン。一体どれほどの力を持っているのか?」アウゼルは呟いた。


自由詩 ファシの戦い(十七) Copyright 朧月夜 2023-05-26 16:02:14
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クールラントの詩