ファシの戦い(十六)
おぼろん

ハッジズは一向に進まない攻撃に歯噛みをしていた。
(ファシブルの魔導士たちがこれほどの力を有しているとは……)
「前衛部隊はどうした? 前衛には剣士たちが当たっているのであろう?」
ハッジズは息子であるクレール・ア・ラ・ガランデを難詰した。

クレール・ア・ラ・ガランデは今、全軍の指揮を執っている。
「剣士、弓兵、弩兵が前線にあたっております。
 しかし、敵の魔導士も強力なのです。
 騎士や剣士の数はそれほど多くはありませんが……」

「どうやら、ファシの街では魔法石が解放されたらしいのだ。
 魔導士の少ない我が軍は苦戦を強いられるだろう、ということは分かっている。
 しかし、魔導士とて遠隔攻撃には弱いだろう。弓兵を前面に出せ!」

「はっ。仰せの通りに」クレール・ア・ラ・ガランデは答える。
そして、千人隊長であるエリス・ガザンデ、ゴゴイス・リーゲを召喚した。
「作戦を変える。攻撃にあたっては、弓兵と弩兵を前面に出す」


自由詩 ファシの戦い(十六) Copyright おぼろん 2023-05-26 16:01:38
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