ファシの戦い(十四)
朧月夜
ファシの街が落ちるとすれば、一週間は持たないだろう。
すでに、戦いは市街戦へと移っている。
ファシブルの兵士たちの練度は、それほど高いわけでもない。
ここでも戦いの行方は、魔導士の活躍にかかっていたのである。
マリアノスは懊悩する。(わたしが今以上の魔導を発揮できれば……)と。
しかし、ガイゼル・マーガセルはあくまでもマリアノスに寄り添う姿勢を見せた。
「マリアノス様。我々もデーモンと契約してはどうでしょうか?
このファシを守るためには、それ以外の方策はないと考えられます」
「デーモンか。彼らを侮ってはならない。彼らの真の目的は、
ヨースマルテをその手中に治めることだ。決して、人間の味方ではない」
「それでは、どうすれば?」
「やはりラゴスに援軍を頼むしかないのか。
ラゴスもアースランテの台頭を望んではいるまい。
豹の足を使って、ラゴスに使者を送るわけにはいかないものか?」
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クールラントの詩