リリー

 さっきから私の背を追ってくる
 オヤジ節の様な咳払い
 切れない痰のしつこさに男はどんな顔しているのだろう

 振り返り見ず 歩く私の前にはさっきから
 くるくる回る
 まぶしい笑顔のディズニープリンセスたち
 その傘の前を
 「はやく!いくよ。」
 風に揺らいでいた みずいろ風船が顧みて
 あそび歩きのその子を呼んだ

 二人がいる先で無地の傘を差している女性の
 姉妹へ向ける眼差しが、傘のシトロンイエローを雨の中
 後光の様にしっとりと輝かせて

 寄り添う三人の後ろ姿を見ていると
 鞄に のど飴が有ることを思い出し
 お一ついかが?などと
 背後に居る男性へ差し出してあげたい気分になっていた



自由詩Copyright リリー 2023-05-24 12:21:02
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