田植えのあと
日朗歩野
ビスカッチャになった私は
眩しそうに目を細めている
ただ ひと目でお疲れなのだろうと分かる
それがなんとも言えない いい味わいなのだ
植えたばかりでも
水田では風を見ることができる
向こうから風がくるのが見えて
来た、と思うのと同時に風を感じる
とても確かなことなのだと感心する
そんなことをくり返しながら
水田のふちに座っている
田植えをすませたおじいさんたちの中で
まだおじいさんに届かない私は
ビスカッチャになることで
ようやく横に並べるのだ
風が植えたばかりの苗と私をなでていくたび
くつろぎ 回復していく
みんな黙って
稲が育つことに思いを巡らせている