ファシの戦い(四)
おぼろん

グーリガン・ハルガンテこと、アイソニアの騎士は、
イリアスを救助しようとクールラントへ赴いていた。
(彼女の存在は何物にも代えがたい)
それがアイソニアの騎士の現在の思いである。

だからこそ、アイソニアの騎士は単独行動をとった。
千人隊長の責務を、ある意味では放棄したのである。
(今、彼らは前線で戦っているのかもしれない……)
アイソニアの騎士にも胸に去来するものはあった。

(わたしが率いなければ、彼らは十分な力を発揮できまい)
胸のうちを引き裂かれるような思いに、アイソニアの騎士は懊悩した。
(しかし、今のわたしにはやらなければならないことがある)

幸いなことに、ファシの戦いはアースランテが優勢に進めているようだった。
もしかすると、ファシブル全体がアースランテの領土になるかもしれない。
(わたしは今はアースランテの人間なのだ。一刻も早くイリアスを救助しなければ……)


自由詩 ファシの戦い(四) Copyright おぼろん 2023-05-21 23:50:56
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クールラントの詩