ビー玉沿線
AB(なかほど)

東京SK駅から北東約十分
明日にかかるプールバーで
転がる玉を見ている
すべての始まりはそこで
やがて
花火の夜に散るように
マイクロバスから
あせた国際色が帰る宿
すべての始まりはそこにあると
信じるものたちの
終わりも始まる



故郷行きの廃線が決まった
子供達の広場が掘り起こされると
すべり台の横あたりから
縄文の三千年の時を超えて
いくつもの玉が転がりだした
あの場所で
スキップをしたときに失くしてしまった玉も
もう見つからないのに
  

あいかわらずの僕達は

あの頃の
あの場所で
なんて
ありもしないところで
どこかで
こつんと音がするのを待っている

待っている







自由詩 ビー玉沿線 Copyright AB(なかほど) 2023-05-21 16:51:34
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