ダンスホール
リリー


 暗いボックスに
 抱き合って動かない男女が居た
 感傷的なメロディーを弾いているピアノ弾きは
 禿げかけた頭を時折 片手で撫でていた

 頭の中も躯の中も
 お酒で一杯の筈なのに
 ちっとも酔えないでいる私

 アナタの腕がワタシにからむ
 柔らかく強くワタシにからむ

 激しさが追いつめられると
 妙に静かなものとなり
 悲しみは極まると
 妙に心がシンとする

 電話でもよい
 きいてみたい声が一つある

 シャボン玉がこわれる様に
 夢が歪んで
 はかない
 空に
 アナタとワタシの笑いが幾度も舞い上がる



自由詩 ダンスホール Copyright リリー 2023-05-20 09:01:16
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