ある星
リリー
クラスメートのMさんは
その日も
大学生の彼氏の自慢話ばかりする
そんな彼女と近頃
廊下でたまにツーショットだったS君とが中庭で二人
待ち合わせて下校する姿を見てしまう
なぜだか よく分からないまま胸に
憤り 立ちのぼり
塾からの帰り道 細い 脚はもつれる様で
寒夜ひとり 軽いめまいを感じた
風が頬に触れてくる
きらびやかでない わたしは
何という星座に属しているのかも
誰も知らない
わたしの光なぞS君も知らない
紺碧の冴えわたる大気に 仰ぎ見るオリオン
天壤無窮であるかのように輝く狩人だけが
怒りにゆれ惑う稚い正義、を
見まもっていた