あまだれ一夜
ひだかたけし

あまだれ ぽつぽつ
落ち続け
貴女はいったい何処いった?

白い途、水の空
在るもの造形の力、
浮き上がり
岸辺の貴女 逃れゆく

絶えず絶えず逃れゆき
坂道 夜の暗闇に 
落ちて消えゆく貴女の姿

あまだれ ぽつぽつ
落ち続け
貴女はいったい何処いった?

チューリップ色とりどり
咲き開く頃、
貴女と一夜過ごした時
遠い汽笛のように 思い出す

遠い汽笛、鳴り響く
一夜の接近
同じ蒲団のなか、
代わりばんこに 肩 貸し合い
わたしの肩に委ねた貴女の顔、

くりくり幼子のように輝いて

あなたは 無垢を超えて無垢だった

互い重荷背負い 一夜だけ
重荷投げ出し 熱 燃やし

あなた 限りなく無防備に開かれて







自由詩 あまだれ一夜 Copyright ひだかたけし 2023-05-11 22:22:13
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