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完備 ver.2

生まれて、育った町の
毎日 渡った橋を
きみとゆく

今日は雲が多いね
川面もすこし 白い

そうして乗る
路面電車の窓を
飛ぶ鳥が
きみとぼくを 一瞬
つれて

どこかで 糸を
むすんで、ほどいて、
むすんで、ほどいて、

結び目理論っていう
数学があってね
そんな話をしながら

繊維に沿って
薄皮を剥がして
すき、きらい、
すき、きらい、

きらきらひかるのは
たとえば川面
たとえば窓
たとえばリボン
たとえば君の
濡れたくちびる

生まれて、育った町の
一度も
通ったことのない路地を
きみとゆく


自由詩 with Copyright 完備 ver.2 2023-05-10 21:37:52
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