衣替え
たもつ



洗濯したシャツを畳んでいると
シャツに畳まれている私があった
痛くないように
関節が動く方向に畳んでくれた
畳み終えると皺に注意しながら
シャツはそっと私をタンスに仕舞った
衣替えの季節だから    
今度シャツが私を着るのは
次のシーズンかもしれない
ただいま
おかえり
家の者が帰ってきた声と
初めて耳にするシャツの声が
とても遠いところから聞こえる
休日には皆で
水族館などにも行っただろうに
薄っすらとしていく意識の中で
思い出すのは
ベランダに干されていた時の
気持ちの良い風と陽射しばかりだ



自由詩 衣替え Copyright たもつ 2023-05-09 17:45:25
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