まばたき
そらの珊瑚
家の窓の中にいると
そこが家の眼だということを
うっかり忘れそうになる
薄いカーテンを開け放ち
風を出迎えると
人の眼も
家の眼も
まばたきする
季節のかわりめに
少し驚くようにして
夜を生き延びた
微量な砂塵を含んだ雨の言葉は
ものも言わずに乾いていく
或いは優しい国のおとぎ話のように
何かに生まれ変わるための
ゆっくりとした
まばたき
チリン チリリン
風はもう初夏の方から
やってきている、らしい
自由詩
まばたき
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そらの珊瑚
2023-05-08 10:11:42
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