影の途
リリー
あれは満月に近い
月の創り出す道が湖面に伸びている
瞳に 孤高の道だと分かっていながら
光って見えてくる
湖上の月はいつも
私の側にいて
前進することに迷い怯懦する夜
ミナモに光の道を照らし出す
それは 影の途
或るときの月は 心を癒し
胎内から産まれ出た記憶など誰も知りはしないだろう
けれども、胎内からこの世界の空気を吸った時と
同じ よろこびが胸を浸し未来へ
生きよう と
導かんとする輝きがあるだろう
それが影の途
影の みちが見えた、
私の指先はアイパッドで写真のシャッターを切った
冬の夜
それを貴方のスマホへ送信して
貴方からの返信が一言、
「水月だねぇ。」
穏やかに笑うメッセージだった