〈ことがらの。移譲である。缺損として。〉
あらい

片手間に積み上げるなにか。
 これは甘いチョコレートで足したりひたりしてる魔に 刻々と溶けていきます
  底に広がるセピアの隊列をよぉくご覧。単眼の脱兎を檻の中に躾け、解決の
  糸口を縫い込み、平らに延ばした尾っぽ引いて見做すって。お仕舞いなさい
 /可笑しのいいえ
  /不健全なパラレルで、見てなさい!
    雨霰もすっかり欠伸しているわ!

 ――
 [夏山 百合]
   (首肯いては)
(ハシタナイ!)

「はい、奥様。」
        ――

 纏足の精霊と風となり水葬の和風下手ワフウベタ
、こころもち息を風路フウジてはロマネスク。
 余韻の弦と意地悪な蕾どちらも天秤に架ける/翔ける
 明日の行方を時の運で占うは不自然なキミ、が、遠くまで見渡したものだ。
 このむねのうちがわにのこしたものだ。さてこれらガラクタどうしたもんか
、と一緒に心中しようかと、水に浮かべたよう、に、この滲んだエヅラだが?
 なにか…

 ――[夕未ゆうみ はん

 いつどき アンタは どこへゆくんだ?
(わからないな、)
 だが 穏やかな軌跡の ムコゥ だろうよ!――

 そわそわしたモヘヤの絨毯に包まる、草臥れた写真が一枚あるよなあ。

 ハァ、自分を貫いたものはなんのために
   /あるはずもなかったのか
   /知らぬふりでもできればいいのに。
 ナア。こたえやしないさ木偶の坊よ、
    畦の案山子よ。
    どこへもいけぬよ、
    もしも?/そうさ。

 傀儡と手玉あそびに殉じて。
 性とは、可不可にも、燃やし、尽くして、しまうのか。
 ああ、恥ずかしげに隠したところで、すべては覆いきれないということだ。

( 夏山百合+夕未帆 ≠  )

 これがほんの一雨
。白く火照る小高い丘を滑り落ちる
、結末のない計画と盛夏に
、季節外れのあじさいが褪せていく、
〈ことがらの。移譲である。缺損けっそんとして。〉


自由詩 〈ことがらの。移譲である。缺損として。〉 Copyright あらい 2023-05-04 22:28:30
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