屋根のない場所でスズメ蜂が雨宿り
秋也

お堂の屋根が破れているから
雨が僧と経本を濡らすんだ

蝋燭はまだ消えず
線香は煙を真上に一筋を
昇って薄く消えて

読経と雨音
衣と袈裟は濡れて
赤と青は黒に近づく

瞼に水滴が流れ
目が滲む
泣いているように弔える

木魚が戻って泳いで逃げないか心配だ
仰ぐ
あおぐ
上と空とその先を仰ぎ
供養する

仏陀も悟る前に菩提樹の下で座し
雨に濡れたのだろうか


自由詩 屋根のない場所でスズメ蜂が雨宿り Copyright 秋也 2023-05-03 01:40:12
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