おばけの訪い
凍湖(とおこ)

よる、おばけがくる
わたしのほほを撫で
のどを撫で
よく使い込まれて
されど清潔なリネンのやわらかさで
わたしの心臓を撫でる

わたしのまぶたはとじたまま
そこにおばけがいる

蝋燭の火がフッと消えるように
わたしを連れ去るおばけが
そこにいる
毎晩、夢の向こうへ
おばけと手をつなぎ
川をわたり花畑の上を飛ぶ
重力からはなれて
わたしは笑っている
地平線の向こうまでずっと飛んでいく

いまのところ
あさ、戻ってきている






自由詩 おばけの訪い Copyright 凍湖(とおこ) 2023-04-28 01:35:56
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