胡蝶──少女遠景
ただのみきや

ひだまりの中に佇んで
樹々の芽吹きのささめきに
聞き入るように目を閉じた
少女の髪をゆらす風
めぐりめぐって誰の頬
ことば尽くしてこころを失くし
破いたノートの切れはしの
ひらりひとひら舞う様よ


小高くぬれた芝に立ち
少女が吹いたシャボン玉
すけていながら円く
反射光につつまれて
虹を抱いて風に乗る
やがて梢に 触れてはじけて
木蓮の蕾は少女の息を吸った


腐れて落ちた花房も
踏みにじるには忍びない
いのちも夢も共に去る
同じ一羽の蝶だから
わたしを置き去り遠景の
光の帯が線となりやがて点となる
少女のもとへ
蝶よ もつれる息のように


             (2023年4月23日)










自由詩 胡蝶──少女遠景 Copyright ただのみきや 2023-04-23 12:42:10
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