錯綜する思惑(八)
おぼろん

悪い知らせが祭祀クーラスの元に飛び込んできた。
ヤーコンの諸国家群が、アースランテに与して参戦したというのである。
祭祀クーラスは、思わず手に握っていたコップを取り落とした。
(先の戦争は大陸の西半分で起こった。しかし今回の戦争は……)

国家と国家という根本的な秩序をゆるがしかねない。
そう祭祀クーラスは判断した。(今までは小競り合いをしていれば良かった……)
しかし、今後はそうはいかなくなるだろう。文明の崩壊、
ということについてまで、考えなくてはならない。

人類の危機。いや、人類と亜人類の危機。そう考えても良かった。
今回の戦争で、少なくともライランテは文明を崩壊させるかもしれない。
──そうなったら、復興には数十年、いや数百年の月日を要するだろう。

祭祀クーラスは、それを恐れた。(ここは何としても、
 アースランテと組んでライランテの半分を治めなくては……)
祭祀クーラスは、フランキス・ユーランディアを呼んで一つの密命を与えた。


自由詩 錯綜する思惑(八) Copyright おぼろん 2023-04-22 22:43:48
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クールラントの詩