錯綜する思惑(七)
朧月夜

それにしても気にかかるのは、軍国ラゴスの動向だった。
祭祀クーラスは、ひそかに密偵を派遣して、ラゴスの国情を探らせた。
それによると、ラゴスの王アウゼル・ローガンテは、
海外領土から軍隊を引き戻そうとしている。その数約六万。

ライランテ大陸の北方にある島、ユーフィリテ。そして、
コーカタンやゾイラスといった大陸において、軍国ラゴスは、
本国の何倍もの領地を有している。そして、統治は安寧だった。
何度も繰り返しているように、ラゴスは軍事国家ながら、

民主主義的な政体を持っていたのである。そして、住民たちは皆従順だった。
しかし、軍隊を引き揚げるとなれば、事は違ってくる。
貿易に関する特権も見直さなければならないだろう。

(そこに付け込む隙もある)と、祭祀クーラスは思うのだった。
ラゴスとは幾度もの戦争を繰り返してきたクールラントであったが、
ラゴスがアースランテと潰し合ってくれれば良い。そう思うのは当然だった。


自由詩 錯綜する思惑(七) Copyright 朧月夜 2023-04-22 22:42:53
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クールラントの詩