読み捨ての週刊誌が
モリマサ公

読み捨ての週刊誌が
雨でふくらんだり
網棚でそっと一日を終える

ベランダ
虹のかかった雲
iPodでプラグインしてコード
不安定に揺れて

ブランコ
高層マンション
スプレー缶
ガソリンの匂い
高速道路
パーキングエリア
公衆トイレにかかれたいやらしい落書き

色の無い信号機の前
立ちすくむ

埋め立て地
荒廃した空き地
鉄鋼団地
東京湾
潮のにおいの川
を渡る橋
沈んでいる自転車
工事現場
解体されていく古いビルたち
工場

ようこそピントのずれたレンズたちへ
目撃してる全員善意と悪意ふりかざして空気の中すべっていく

客席
いっせいにざわってなって
一体なぜ?のテロップ
画面いっぱいひきのばされ
ボイスチェンジされた磨りガラスのむこう
わたしと名乗る女の影が!!
それって自分じゃないですから!!
おーい!!

ワイドショー
コンフェッション
スペクタリズム

存在しているのに存在感全くない

食卓に並んだごはん
垂直にたれる洗濯物
笑い声
湯船にたまるお湯
読みかけの絵本とつみき


プリントアウトした紙もって
殺人現場めぐる

更地になってしまった土地の上
暮らしていたのもわたし
ベランダにゴミを捨ててたのもわたし
みんな元気してるかな
どこいってしまったんだろう


はいいろな
サンリオピューロランド
まったくゆかいでないメロディー
くさったきぐるみ
泣かない子どもたち
ピンクのふうせん手をはなれて
空色にすいこまれてく


ハローワークから帰宅した弟が血を流しはじめた
酔っぱらった父親が酒瓶でなぐってる

貧しさ

白熱級ひかりのなかはもう何もうまなかった

記録
日常的なトランス状態
近所の薬屋でする万引き

葛藤
ストレス
真逆に引き裂かれて夜
からだのうちがわいつもキモい

声出るってすごい
水道から水出ることも
みんなあたりまえのことだけど
あたりまえじゃない
すごい


しめりけおびたやわらかいくうき
浮かんでキズ一つない花びらひらいている
悲しいこころ映し出したにおい
ときおり肺まですいこまれる

わかってる
みいんな正しい
みいんな正しい




 


自由詩 読み捨ての週刊誌が Copyright モリマサ公 2023-04-19 09:27:10
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