女學生日記 六十三
TAT


四月二日 火曜
天氣 曇
起床 六時三〇分
就床 十時二〇分

朝起きたら空が曇つて雨がしめやかに降つてゐたのでがつかりした
折角の今日だのに あゝつまんない
お雛様は明日の清潔のため又箱の中にしまつた
長野さんも今田さんも呼びに居らつしやらない
何だか胸が一杯
困つたなあ
晝 長田さんにあやまりの手紙を出した



四月三日 水曜
天氣 雨
起床 六時〇分
就床 十時二〇分

今日は清潔をするつもりだつたが雨のためやれなかつた



四月四日 木曜
天氣 晴
起床 六時〇分
就床 十時二〇分

今日は清潔
赤いたすきに姉さんかぶり
黒いマスクも意氣揚々と物すごいいでたちである
お雜巾がけにちりはたき
夜腰がいたくなつちやつた
今朝の勢のよさに今のあはれさ
フフフフフ・・・・・・
妹達は今日から學校が始まる
長田さんより葉書が來た
早速返事を買く



四月五日 金曜
天氣 晴
起床 六時〇分
就床 十時二〇分

今日岐阜祭に行く筈だつたけれどやめた
(兄さんのざれ言 口惜し〳〵)
ので便せんと封筒を買ふ
少女の友と暁の聖歌を買ふ
全部讀んでしまふ



四月六日 土曜
天氣 晴
起床 六時〇分
就床 十時二〇分

長田さん長野さん今田さん陽子ちやんにお便りを出す
兄が歸られた





散文(批評随筆小説等) 女學生日記 六十三 Copyright TAT 2023-04-09 02:09:08
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