ある自己紹介
ハァモニィベル
新入社員になったり、転勤したりすると
職場でアフターファイブの歓迎会があったりする
そこである種<独特の>語彙と文法を駆使した自己紹介ができることも
社会人の大事なスキルのひとつである
詩人などはバイリンガルでないとやっていけない
そこでもし、詩人が
皆さん、はじめまして、
わたしは、実は
<ことば>です
みなさんも、じつは
<ことば>でしょう?
それ以外に
本当の自分が在るでしょうか?
お互いに、見えている姿や振る舞いが
本当の'わたし'でも'あなた'でも
ありません
わたしは、本当は
<わたしのことば>であり、
あなたは、
<あなたのことば>である、
はずです。
ところが会社では皆、
<社会のことば>と化して
すがたを消すのです そしていまも こうして、
どこか空々しくどこか安心しながら過ごしていますが、
本当は、わたしは、<わたしのことば>ですから
大変申し上げ難いのですが
実を申しますと
いま、こうやって目の前でお話していながら
いま、 わたしは、
本当は、ここにはいないのです。
それが”私ことワタシ”です
それでは、
皆さん、凍りつかずに 今後とも、どうぞよろしく