女學生日記 六十二
TAT


三月二十九日 金曜
天氣 晴
起床 六時三〇分
就床 九時二〇分

朝眞桑へお礼の手紙を出した
花屋さんに寄つて草花の種を買ふ
午後花畠に撒く
西洋撫子・サルビヤ・昇藤・百日草・ダリヤ・金蓋花の六色を撒いた



三月三十日 土曜
天氣 晴
起床 六時三〇分
就床 九時二〇分

晝前勉强した
お雛人形を飾り付ける
午後お蔓もちを買つて来る
夜お二階で家庭音樂會を開いた
たのしい面白い夜だつた
お風呂に入る
少女の友がしみ〴〵好きになりました
私は此頃センチ過ぎる
何故つて泣けて仕方がないから

私はまだ十五の少女
もつと朗らかになりたい



三月三十一日 日曜
天氣 晴
起床 六時二〇分
就床 十時二〇分

梅の花が散つてしまつた
行く春
そんな感じをいだかせる



四月一日 月曜
天氣 晴
起床 六時〇分
就床 十二時〇分

朝二階の大掃除をして机の置方を考へて変へた
晝から靴下つぎ
夜遅く風呂へ行きました
明日長田さんの家に行くので用意をして居いた
夜 豆の御飯をして頂いた
清潔で雛まつりが出来ぬからである
お隣の叔母さんがお歸りになつたのでお見椰毛にラインまんじゆうととちせんべいを頂く
本當においしい



散文(批評随筆小説等) 女學生日記 六十二 Copyright TAT 2023-04-05 17:55:03
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