高架鉄道
リリー

 高架橋の手前で母子とすれ違う
 歩道へ吹き出してくる走行車の反響音
 二車線道路が湖岸の県道まで下っていた

 すれ違った時
 赤子はカラフルな膝掛けに包まれていた
 ちょこっとだけ小首傾げたまま
 すっぽりと母の胸元に身を埋め眠っている

 すれ違いざま盗み見た
 彼女の張りのある白い頬と
 歩道を下り行く前方へ
 直線にのびる涼やかな眼差し

 高架橋をくぐり右折して国道へ上がると
 背後には線路の響

 車輪がレールを踏むリズムの小気味よい

 繰り返されるリズムが
 さっきの母子の姿と重なってきて
 和やかに遠ざかっていった
 菊日和の朝



自由詩 高架鉄道 Copyright リリー 2023-04-03 12:15:16
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