ペダル
ミナト 螢

歩く時
地面と仲良くなって
見えないペダルを借りた

いつもより高い目線に
希望が泳いでいて
それを捕まえるために
ペダルを漕いだ

憧れる気持ちが
重力に逆らって
紐なんかじゃ縛れない

どんなに遠くても
追い付いてみせるから

ペダルを履いた足で
探しに行こう

春に食われて
車輪に挟まった桜が
花火に見えた

少しだけ
季節を知り過ぎて
それが怖くなって
ペダルを捨てた


自由詩 ペダル Copyright ミナト 螢 2023-03-27 20:44:04
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