女學生日記 六十
TAT



三月十九日 火曜
天氣 晴
起床 六時五〇分
就床 九時〇分

午後一時に行く筈のを九時に變更されたので篠塚さんに呼ばれて學校へ行く
作法室・講堂・受付・待合室・控所等を準備してお雜巾をかける
其の時 桁山さんが四センチ位のものをさゝらかして太田病院に行き切つて出されたので用心しなければならぬと思つた
十一時半に歸りました
晝から篠塚さんと防空展の第一第二會場を見に行きました
仲々面白くためになる
森右近丸と云ふ本を買いました



三月二十日 水曜
天氣 晴
起床 六時十分
就床 九時二〇分

朝早く起きた
二階を掃除して勉强をした
飛行機が低空飛行を行つて関の防空展のビラを撒いて行つた
其れを上を見てビラのあとをおつかけてゐたら首がだるくなつた
今田さんと長野菊枝さんに手紙を出した
妹と防空展を見に行きました



三月二十一日 木曜
天氣 晴
起床 六時〇分
就床 九時二〇分

洗濯をした
晝から善光寺へ母とお參りに行きました
序に公會堂へも防空展を見に行きましたが非常に混雜して見られなかつた
それから関小學校の防空展も見に行きました
四時に家に歸つた
水仙を買つた
春季皇靈祭
彼岸の中日である
とてもよい日和でヒヤシンスの花が一つ開きました



三月二十二日 金曜
天氣 雪
起床 六時三〇分
就床 十時二七分
佳ちやんが亡くなられた

朝起きたら雪が散らついてゐたが九時頃から雪が降り出し十時半頃には十糎位になつた
ヒヤシンスの花は箱を伏せて居いた
四時頃吉田先生よりお電話が有りましたので急いで學校へ行きました
島先生が二十五日の送別會の會費二十戔を集めることと明日九時迄に學校に来る様に言つておくのです
とても寒かつた
吹雪ですから
夕食後も自轉車で行きましたがとても冷かつた



三月二十三日 土曜
天氣 晴
起床 六時三〇分
就床 九時二〇分
佳ちやんのお葬式

朝九時に學校へ行つた
それから記念品の相談をして物産館へ買ひに行く
それから自轉車で黒屋と洞と倉知と通信に行きました
風が强かつたのでとてもえらかつた
何度も落ちかけた
そんなに私が困つて一時過までも食事もしないで廻つてゐるのに學校にのこつてゐる人は苦情許り言ふ
何と云ふ利箇主義だらうと思つた
晝食が二時だつた
それから三時に物産館へ集つたけど小城さん達が見えなかつたので解散して武岡さん小宮さんと鷲尾先生の家に相談に行く



三月二十四日 日曜
天氣 晴
起床 六時三〇分
就床 九時三〇分

朝 武岡さんの兄さんが見えて「千賀子さんが来れない」と仰言つた
八時半に小宮さんが見える筈だつたけど見えなかつたから學校へ行き鷲尾先生に相談して物産館へ行き包み直した
早坂さんに英語の本を頂いた
二階を整理した


散文(批評随筆小説等) 女學生日記 六十 Copyright TAT 2023-03-26 10:44:35
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