幻想の庭(改訂)
ひだかたけし

赤々と艶やかな大輪の花を
呪い殺すように歌い千切って
淡い光跡を残し貴女は沈む
深く澄んだ泉の底へ
こんこんと湧き出る清水、
あらゆる幻想を溺れさせ

なにが訪れたのだろうか
なにが到来したのだろうか
未覚醒なわたしの意識に

夜明けを告げる鐘が鳴る
無と有の狭間に横たわり
人は幻からの覚醒を望む

移ろいゆく世界、確実に刻まれる時
破壊は突然やって来る
その時、君は
澄んだ泉の
渦巻く深淵を観るだろう

幻想の庭に赤々と咲く大輪の花
歌い千切り去るのは誰だったか
呪うように生々しく響く声は
神々の痕跡を刻印し
この世界の内へ呑まれていく


高まり鳴る夜明けの鐘、込み上げ湧出する認識の水脈

一切回帰しない新たな瞬間、口を開き時を裂き










自由詩 幻想の庭(改訂) Copyright ひだかたけし 2023-03-25 17:10:35
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