積雲
リリー


 小路を下り来た足が
 民家の庭先にある酔芙蓉の木に
 止まってしまいます
 日差しを浴びる幾つもの
 いくつもの花を
 見てしまう
 どれもがすっかり
 酔い心地
 
 木は通りすがる私の顔など
 覚えてもいないから
 それでも
 だれかに聞いて欲しかったのです
 
 民家のブロック塀から乗り出す酔芙蓉の太い枝
 この坂、から見下ろす街並に雲の峰が
 わき立っています
 雲よ
 そんなにも白く在る

 枝に咲き誇るものの
 今朝のすがたであるかのように



自由詩 積雲 Copyright リリー 2023-03-21 01:09:08
notebook Home