間借り人
ひだかたけし
なんにもない
不安もなければ恐怖もない
絶望もなければ希望もない
ただただ熱持ち静か高揚し
均衡にゆらゆら揺れている
)根差す処は決して無く
)今にも開ける湧水大地
)一瞬に覗く光景が
)私の間借りする仮の場所
進み続ける時間は私を変え行き
私の肉体はやがて朽ちて果てる
それでもこんなに落着している
わたしには只もうなんにもない
)対角線、肉を裂き
)黄色い三角、伸びる魂
)台形はゆったりと
)一ヶ所に腰据えて
こうして詩想するナニモノカを
いつか捉えるその瞬間、
光の大洋に泳ぎだす
私は果てなき間借り人、
荒々しく牙を磨ぎ