お気に入りの季節
藤原 実
鍵盤の上をいつもおくれてくる指のように
わたしはすでに取り残されてひとりで立っている
ビー玉を空に撒いたような
ボールパークの歓声に耳をふさいで
美しい惰眠をむさぼる緑色の猫の舌が
春の栞に
そっと触れる
自由詩
お気に入りの季節
Copyright
藤原 実
2023-03-17 12:05:33