digital twilight haru
mizunomadoka


「ごちそうさま」
そう言って席を立つ
「ねえ、明日」
声は喉の奥に消える

触れる月は手を溶かす
美しい通路
これから起こる悲劇を知らない

反射と再合成された
細やかな現実

本物の世界があるのに
見えたものはそこにない

落ちた言葉を拾い上げ
食器を重ねる

時間と空間の隙間に
生きることを許された
渡し

泡はどこからでも浮き
水はどちらへも流れる

ファミリーレストランのキッチンで
あなたがこの世界を去ったことを知る

春を待つ

摂氏百度の
氷点下二百度の桜







自由詩 digital twilight haru Copyright mizunomadoka 2023-03-14 18:26:57
notebook Home 戻る  過去 未来