その先へ
ミナト 螢
寂しさと
同居しているから
楽しいことが
分からない
僕だけは
理由がなくても
空っぽなまま
バスに乗る
揺れて
気持ち悪くなって
いつもの場所で
降りたことを
悔やむくらい
良い天気だった
雪解けが進む
水溜りの中で
忘れ去られた手袋が
何かを指差している
きっと意味なんてない
それでも誰にも
振り向かれずに放った
迷いのない
そのサインを
僕が盗んでも
良いのだろうか
自由詩
その先へ
Copyright
ミナト 螢
2023-03-10 20:21:37