コハコベ
八重もぐら
みちくさ図鑑みたいなものを見ていたら
ハコベのページに興味を覚えた
農家さんが嫌がる雑草ではあるが
春の七草のひとつにも数えられている
丸い葉に二裂した五枚の花弁を持つという
うさぎの耳のようだという記述もある
あんなちっぽけな花にウサギの耳かい
まさかね
出掛けの道、椿の咲いている石段のところ
なんとなく小さな白い花を見掛ていた様な
あった あった
小花の付いた先六センチほどを手折って
ティシュにペットボトルの水を含ませたもので
切り口を巻いておく
石清水とかいう天然水だ
数字キー辺りに立てかけておいた
気付くと半開だったのがだいぶ開いている
三・五倍のルーペで覗いてみる
なるほどー 確かにウサギの耳だ
想像より細くて長いおしゃれウサギの耳だ
点対照でなく、一部の花弁はよじれたり
重なり合ったりしており、それが図形じゃなくて
草なんですと言っている様で見入ってしまった
茎は茶色味があるから緑ハコベじゃない
コハコベ、それが一般的にみられる種類らしい
お昼ごろには元気がなくなって
花はまた閉じてしまったというか萎れた
それでも葉っぱは時々眺めた
レモンの実の形をしている、丸いとはこのことか
帰り際にはもうしなしなで
買い物袋を下げながら空を仰ぐと満月
もう春だから黄色くぼんやり見えているなあ
あれね 月のウサギ 久しぶりに見たよ
たしかに右下に向かって耳が垂れている
じっと見ていると月は白く輝き始めた
冷たくも美しい白い光
月のウサギがひとつこっくりをした気がした
歩むにつれて月は遠ざかり
やがて家屋の影に沈んでいった
湧き水は酸素を含んでいないらしい