春の足音
ひろっちは生きてる。

山本に千円貸したけど返ってきません。
返ってこないから、山本を殺してしまいました。

屍となった山本から、大量の性液が溢れ出したので、百均で買ったガラス瓶に流し込んで、それを山本のパートナーのキヨエさんに手渡しました。
キヨエさんは目の前でガラス瓶に詰められた精子を飲み干して、最後ぷはーって幸せそうでした。
飲みっぷりがよかったので、私はキヨエさんを強姦しました。

菜の花の光眩しい季節がまたやって来ます。
河面に見た春の息吹が目の前の現実に色を与えてくれます。
これまで、目の前の現実から目を背けて生きて来ました。

今年は現実を受け入れながら生きたいと思います。
去年もそう誓ってました。

ウクライナに核爆弾が落ちて戦争は終わりました。
戦争は終わりましたが、スーパーのトマトは安くなりません。

常軌を逸した兵士の塊が今日も意味のない血を流しています。
戦争は終わりましたが、キヨエさんの周辺には男が彷徨いています。

犠牲を厭わない指導者が今日も窓辺で欠伸をしています。
戦争は終わりましたが、山本から千円は戻って来ません。

春はすぐそこ、目の前です。


自由詩 春の足音 Copyright ひろっちは生きてる。 2023-02-28 01:11:19
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