オーバ・ニーチェの戦士エイソス(七)
おぼろん

戦士エイソスは舌打ちをした。ウルム・ルーランテの言うところも、
もっともなことだと納得しながら、それを突き崩せない、
己の無力を思ったのである。祭祀ウルム・ルーランテは、
やはり、知謀と術数において長けている。この国の政治家とは……

この国の信を問うものとして存在しているのである。
そのなかにあって、己の目指すところを開闢していけるのは、
それなりの資質をもった者に限られてくるのであろう。
そのことを、戦士エイソスは落胆とともに知った。

エインスベルは、国家の表舞台には立てないかもしれない。
しかし、それは彼女自身の無力を反映してのことだろうか?
それとも、周囲の無理解に帰せられるべき誤解の元にだろうか?

戦士エイソスは悩むのだった。(俺は、本当にオーバ・ニーチェに潜入して良かったのか?
 あるいは、この選択こそがエインスベルを追い詰めるものだったのではないか?)と。
戦士エイソスは生まれて初めて神に祈った。(どうか、エインスベルに幸あれ)と。


自由詩 オーバ・ニーチェの戦士エイソス(七) Copyright おぼろん 2023-02-21 18:02:58
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