地下鉄
たもつ



私たちの地下鉄は地下を進む
地下を進むからいつしか
地下鉄と呼ぶようになった
図鑑で虫の名を当てて遊び
折にふれ季節の果物を食した
軋む音、擦れる匂い
鼓動と呼吸の合間を縫って
地下鉄は進む
これは何の比喩だろう
とも思うけれど
私たちはふとした
命そのものだった



自由詩 地下鉄 Copyright たもつ 2023-02-20 18:57:01
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