風来坊
なつき

人の意思の脆さだけでも
掌で掬うようにして
指の隙間からすべらかに
流れ落ちるその煌めきが
瞬く間に意識とともに
漆黒の澱と成り果てる
それは己の消え掛かった
慕情のようでもあるのだと
思い知って
まだ縋りたくて
声をあげて、泣いた

六花の舞う都心で
憧れだけではもう
太陽さえ見えない
君はまだ、しゃんとしているかい
俺にはもう、無理だ
それでも、息をすることさえ愛おしい
まだ残された時間があるなら
揺らめいた心、震わせ
君に追いつきたい

何処へ行く?
そんなことは、まだ知りようもないのさ


自由詩 風来坊 Copyright なつき 2023-02-18 08:09:46
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