バスターミナル
たもつ




駅からの階段を降りると
小さなバスターミナルがあった
植込みか歩道か曖昧なあたりで
蟻たちが作業をしていた
バス乗り場は三番線まであって
各所に行けるらしい
一番線から総合病院行きのバスに乗る
病室で母は半身を起こし
外を眺めていた
私を見て、あなたは誰
と聞くこともなく
焦点の合わない目で
何かを考えているようでもあった
私が唯一
臍の緒で繋がったことのある人
これからもずっとそう
しばらくしてやっと
兄の名で呼んでくれた




自由詩 バスターミナル Copyright たもつ 2023-02-17 18:41:08
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