遠出
岡部淳太郎

幼い空がなんの思惟もなく広がっていた
誰も見たことのない鳥の雛が巣のなかで育ち
その間も周囲は ぐるぐると回り
ぐわんぐわんと流れては 変化しつづけていた
いつの間にか光は強さを増していて
花は咲こうとしていた
誰か先人の靴の痕が道のうえに記され
そのうえを踏むだけで
すべてから認められているような真昼
人生は遠出の旅のようだとつぶやく
いったい誰なのだろう
この何も知らない幼さに道を尋ねる者は



(二〇二二年十二月)


自由詩 遠出 Copyright 岡部淳太郎 2023-02-13 02:53:23
notebook Home 戻る